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医師のYouTubeでの情報発信の方法 ー顔出しか匿名かー

医師がYouTube発信する主要な方法は次の2つがあります。

  • 本名、顔出しあり
  • 匿名、顔出しなし

顔出しありは、有名YouTuberで例をあげると、
HIKAKINさんや、YouTube大学の中田敦彦(オリラジ)さん
顔出しなしは
リベ大の両学長、サラタメさん、本要約チャンネルさんなどがあります。

それぞれ、メリットとデメリットがありますが、医師にとっては、一般のYouTuberと違ったメリット・デメリットもあります。
この記事では、それらも含めて解説します。

自己紹介

私自身は40歳の外科系勤務医、中規模病院勤務(800床ほど)。
1年半前より匿名の情報提供系YouTubeチャンネル解説し、現在登録者2万2千人。
ブログ解説、Kindle出版なども行い、
「医師の本業に活かせる副業の方法」
を発信しています。

「本名、顔出しあり」スタイル

これは
「カメラの前で、発信する情報について自分がプレゼンする」
というスタイルです。

本名顔出しありのメリット

信憑性や権威性が上がる

 視聴者は動画から情報を入手する時に、
「誰が情報を発信しているか」
ということをとても重視します。
そのため、医師本人が、カメラの前で白衣を着て解説するスタイルは、視聴者にとって、大きな信頼を与えます。
このことは、登録者、視聴者数というYouTubeの数字にも如実に現れます。

説得力が上がりやすい

顔出しありだと表情でも表現することができるため、表現の手段が増えます。
また、医療情報を発信する場合、診察方法や体の部位を示すためには、身振り手振りが使いやすい顔出しの方が有利です。
プレゼンテーション能力が高い人は説得力が上がりやすいです。
同時に、
「視聴者から観られている」
という意識もでるため、プレゼンテーションも上達し、本業にもよい影響を及ぼします。

動画作成の時間が短縮できる

 自分自身を撮影するため、撮影場所を準備し、身なりを整える必要はありますが、動画撮影後の手間は少なくてすみます。
視聴者が聞き取りやすいように最低限の音声編集は行ったほうがよいですが、
自分自身が喋っている動画が主要コンテンツのため、撮影が終わった時点でかなりの部分の作成は終了しています。
なかなか動画編集の時間を確保できない医師にとって、これは大きなメリットです。

「医師としてのブランド力」の向上

「チャンネル登録者が多い」ということは、それだけ集客力がある。ということです。

最近は外来をしていても、
「ーーー先生のYouTube動画ではこう言ってましたけど・・」
と、同じ先生の名前を、何人もの患者さんから耳にします。

学術的(学会発表や文献)には全く無名の先生でも、患者さんへの影響力は絶大です。

そのため、当然知名度が上がれば、患者さんの集客効果にもつながります。

勤務医のYouTuberの医師には、
「YouTube経由で受信した場合は、診療報酬の〇〇%を給与にプラスする」
と、インセンティブを病院との契約にいれている人もいるようです。

本名顔出しありのデメリット

一方で、本名、顔出しありのスタイルにはデメリットもあります。

副業禁止のリスク

 基本的に、ほとんどの病院では副業が認められています。しかし、多くの場合、
「他の病院での診療バイト」
を前提としており、
「職業専念義務」が課せられていることが多いです。

業務時間内に副業をしている場合は論外ですが、
勤務時間外に一生懸命YouTube動画を作成し、アップしても、

どうしても他の職員からすると、
「なにか変わったことをしている人」
という印象を持たれ、何かの時に指摘されたりするリスクもあります。

また、医局所属の勤務医の先生には転勤のリスクもあり、たとえ現在の勤務先が副業を容認していても、次の転勤先が禁止している病院であるリスクもあります。

他の医師からの批判をうける

 
 最近では、だいぶYouTubeで情報発信する医師が増えてきましたが、
どうしても
「目立ちたがり屋」
「変わり者」

というように、色眼鏡で見る医師もいまだに多いのもの事実です。

また、医療会において、医師の情報発信のスタンダードは
正当に査読された「医学論文」のため、

「あやふやな情報発信をするな」
「こういった意見もあるのに断定的な情報を流すな」

と避難されることもあります。

途中から匿名にはできない

本名、顔出しありで始めてしまうと、途中から匿名にすることはできません。

匿名、顔出しなしのスタイル

このスタイルのメリットとデメリットは、ほとんど、
本名あり、顔出しありの逆になります。

匿名・顔出しなしのメリット

身バレしないので副業として別個に行いやすい

 最大のメリットはやはり本業と完全に分けられる点にあります。
職場でのプライバシーが保たれるのと同時に、個人のプライバシーも保たれます。

また、特殊な場合を除いては勤務医は固定給の事が多いため、
「YouTubeで診たから受信する」
「違う症状だけど、有名な先生だから一度かかってみたい」
という、自分の専門性から遠い患者さんの数が増えてしまうということは、あまりメリットに繋がりません。

さらに、YouTubeに投稿する動画はいわゆる
「一投入魂」的な動画です。
毎回同じテンション、同じ密度の診察を、全部の患者さんにすることもできません。

このようなリスクを考えると、本業と副業を完全に分離できることは大きなメリットとなります。

動画編集など、プレゼンテーション資料作成の幅があがる

匿名で情報発信する場合、「コンテンツ勝負」になります。

この「匿名でわかりやすい情報を発信できる」というスキルを身に着けられれば、本業にとっても非常に強力な武器になります。

途中から本名を公開することもできる

 これも大きなメリットです。
チャンネルが大きくなり、ファンが増えてから開業したり、医療ビジネスを起業する人もいます。

匿名、顔出しなしのデメリット

本名、顔出しありと比較すると、登録者が増えづらい

 顔出しなしの場合は、本人の「医師としての権威性」を活かせないため、どうしてもそのコンテンツ、発信方法が大事になります。

  • 内容がすごく良い
  • プレゼンテーションがとても聞きやすい
  • 話が面白い
  • 声が良い(才能)

など、プラスアルファの要素があってこそ、視聴者の人は動画を観てくれます。

動画編集に時間とコストがかかる

 本人が話すスタイルの場合は、手書きのホワイトボードや、本人が語りかける動画のみでも十分情報は伝わります。
しかし、顔出しなしの場合は、どうしても説明内容をスライドにしたり、アニメーションを作成する必要があります。
さらに、音声のみの発信の場合は、音質や内容もより重要になるので、音声編集も必須になります。

これは、動画を一発撮影してアップできる顔出し動画と比べて、けっこうな労力になります。

医師YouTuberで本人がしゃべるスタイルの発信者が多いのも、
「なかなか編集に時間をかけられない」
という理由のことも多いです。

登録者が増えても、個人のブランド力アップにはつながらない

 あたり前ですが、匿名でやっている以上、いくらチャンネルに人気がでても、本業での活動には反映されません。

顔出しありと匿名はどちらがいい?

これらのメリット、デメリットから、

  • 本業とリンクさせて情報発信したい人は本名顔出しあり
  • 本業と副業を分離させて行いたい人は匿名、顔出しなし
  • とりあえずやってみたい人は匿名、顔出しなし(切り替えも可能)

がよいのではないかと考えます。